【インタビュー】「余計なことは言わず、最高の仕事をしてくれる」石川県ベース職人が選んだ工務店

世界中から注文が届く石川県津幡町のベース制作工房。
能登半島地震により、これまでの工房は建て替えを余儀なくされました。
震災を乗り越え、再建のパートナーに選んだのは、過去にバンド活動の経験があり、同じく「木」を扱う弊社代表の桜井でした。
「木の職人」という共通点で結ばれた二人が、どのようにして理想のベース工房を作り上げたのか。
今回は、インタビュー形式で、その完成までの道のりとM様が感じた「お任せできる安心感」の正体に迫ります。

「自分の好き」を凝縮したベース制作工房の役割

まずは、この工房のコンセプトや、主に行われている作業内容について教えていただけますか?
M様:一言で言うと、「自分の好きなものを詰め込んだ理想の場所」ですね。自分の理想、やりたいこと、もう何もかもを詰め込みました。
ここでは主に、ベースの制作や楽器の修理受付を行っています。
非常に専門的な空間ですが、やはりお客様は地元の音楽関係の方が多いのでしょうか?
M様:いえ、実はほぼ県外、それこそネットやSNS(Instagram、Facebook)を通じて世界中からご依頼をいただいています。
今年の1月の頭には、スペインのお客様へベースを発送したばかりなんですよ。
広報佐藤(以下S):スペインまで!まさに世界基準のモノづくりがここで行われているのですね!
【施工前の悩み】「いつか立て替えよう」が、震災で現実になった日
今回、能登半島地震という大変なきっかけで建て替えを検討されることになりました。施工前の工房ではどのようなお悩みがありましたか?
M様:元々は普通の一般住宅を、自分で無理やり素人リフォームして改装し、どうにか頑張っていたという状態でした。
そもそも製造業に合わせた建物ではなかったので、自分なりに工夫して機械を入れていたものの、どうしても限界があって。
とくにストレスだったのが、「床の段差」と「それぞれの部屋の狭さ」です。
元々が普通の家なので、玄関から一段上がらなければならず、部屋も一つひとつが6畳と小さいため、作業が非常にしづらかったんです。
必ずどこかで建て替えることが必要だなと思いながら作業をしていました。
「いつか、あと何年後かには建て替えなきゃな」と思いながら作業していたところに地震が起きてしまいました。
時期が多少早まっただけで、どちらにしても建て替えは必須の状況でした。
施工前に感じていたそれらの「ストレス」は、新しい工房になって解消されましたか?
M様:もの凄く解消されました!床の段差がなくなったことで、重い機械の搬入もスムーズです。
あと、趣味のバイクを冬場に片付ける場所が欲しかったのですが、新工房には雨風を気にせずバイクの整備ができるガレージのようなスペースも作ってもらいました。
これまでは冬場にバイク屋さんに預けて一シーズンごとに費用がかかっていたので、費用的にも利便性でもすごく助かっています。

- 床の段差による搬入のストレス→完全フラットで解消!
- 6畳ごとの狭い作業スペース→開放感のある広々とした動線へ
- 冬場のバイクの保管場所の悩み→雨風からバイクを守る整備ガレージを確保
【譲れなかったこだわり】機材も楽器も「ストレスゼロ」で運べる完全フラット動線
ベース工房という特殊な建築において、新工房に「絶対に譲れなかったポイント」は何でしたか?
M様:今風の言葉で言うと「バリアフリー」ですね。レールなどの凹凸を極力なくして、機材や木材を搬入・搬出するときのストレスをゼロにしたかったんです。
建て替え前は、お客様からお預かりした高価な楽器や重い木材を持って移動するときに、床の段差が多すぎて本当に神経を使いました。
今は、床に対するストレスがまったくありません。もう、最高です!

そのご要望に対して、弊社からの提案や打ち合わせで印象に残っているエピソードはありますか?
M: 実は、以前に代表の桜井さんのご自宅を見せていただく機会があって、それが「ものすごくかっこいいな」と感動したんです。その時点で「あ、この人にお願いすれば間違いないだろうな」と確信していました。
だから、私は打ち合わせであまり細かい要望を言わなかったんです。そうしたら、逆に桜井さんの方が「これは〇〇で本当に大丈夫ですか……?」って不安そうに聞いてこられることがあって(笑)。
「お任せしておけば大丈夫」という信頼からの安心だったのですが、少し心配させてしまったなと今では思っています。
上がってくる図面も、まったく文句のつけようがない素晴らしいものでした。

【工務店選びの決め手】「この人なら格好いいものができる」という直感と信頼
震災直後の混乱期、多くの人が不安を抱えていたと思います。そんな中で、弊社を「再建のパートナー」として選んでくださった一番の決め手は何でしたか?
M様:共通の知り合いが動いてくれたという縁が大きかったのですが、何より桜井さんと直接お話をしたときに「この人に作ってもらえば、間違いなく格好いいものができる」と直感したことです。
普通の住宅を建てるなら何軒も工務店を回って比較するのでしょうが、私は他の工務店を一切回りませんでした。
比較して決めたというよりは、桜井さんとの繋がりの中で、自然と前に進んでいった感覚です。
【施行中のリアル】職人同士だからこそ分かり合えたこと

施行中の対応や、施工の進行について率直な感想を教えてください。
M様:正直、最初は「思ったより時間がかかるな」と感じることもありました。ただ、今は全国的に建築資材が品薄で、原材料費も高騰している時代です。自分もものづくりをしている人間(職人)なので、「まあ、そういうこともあるよな」と。そこは「職人同士」の理解というか、納得して待つことができました。
最終盤、9月に入る予定だった照明が11月にズレ込むと聞いたときは驚きましたが、完成を心待ちにしていました。
「電気の契約、こんなに違うとは…」工房ならではの裏話
M様:一般的な住宅とは異なり、大型機械を動かすための「100V・200Vの動力電源」の確保など、電気契約の面で認識のズレが生じる場面もありました。
しかし、最終的には後から電気工事がしやすい構造に仕上げていただき、十分満足できる形になりました。また、高価な楽器を守るための耐震性についても、しっかりとした「地盤改良」を施していただき、安心してお任せすることができました。
現場へ足を運ばれた際、印象的なコミュニケーションはありましたか?
M様:作業の邪魔になると悪いので少し遠くから見つめていたら、桜井さんが気づいて声をかけてくれました。一緒に見にきていた妻は、建築のことは詳しくないのですが「かっこいい!いいものになったね!」と大喜びでしたね。
【完成後の新工房】天井高が生み出す開放感と、木に囲まれた至高の空間
新しく完成した工房に一番最初に入った時の感想を教えてください。
M様:「天井が高い!」ですね。 打ち合わせの段階では「天井を低くした方がエアコンの効きが良い」というご提案もいただいたんです。
でも、私は何時間も、長いときは一日中ここに籠もって作業をします。狭苦しい雰囲気が好きではないので、開放感を最重視しました。
機械を使う作業中は空調をつけられないことも多いので、天井が高く開放感のある空間のおかげで、今はまったくストレスなく仕事に集中できています。
焼き杉の黒が締まる、店舗らしい佇まい

M様:外観に採用してもらった「黒い焼き杉」の締まった雰囲気や、外観の照明もすごく素敵です。お客様がいらっしゃる場所なので、誇れる店構えになって本当に嬉しいです。
入った瞬間感動した造作家具「こんなことまで?」
M様:以前の工房では、急いでいるときに開き戸を片手でパッと閉めると「バン!」と大きな音が立ってしまっていました。しかし、新しい工房の引き戸は、片手で適当に閉めてもスーっと静かにゆっくりと閉まってくれるんです。
既製品ではなく、職人さんの手による造作の扉だと聞いて、この何気ない細かい配慮には入った瞬間に感動しました。

この新しい工房を一言で表すと何でしょうか?
M様:「木の工房」です。 木を扱ったもの(ベース)を作る、木で作られた工房ですから。
代表の桜井さんとは「木の職人」という最大の共通点があったので、お互いに通じ合う部分が本当に多かったと感じます。

【これから建てる方へ】理想の空間を叶えるための工務店選びとアドバイス
これから自分だけのアトリエや店舗、こだわりのマイホームを持ちたいと考えている方へ、先輩としてのアドバイスをお願いします。
M様:アドバイスとしては、やはり「全てを任せっきりにしないこと」、そして「本当に信頼できる人に建ててもらうこと」に尽きます。
私の場合は、特殊な電気契約など、自分自身ももっと勉強して打ち合わせに臨むべきだったという反省もあります。
家づくりにおいて、自分に合う工務店を見つけるのが一番大変なポイントだと思います。
私も過去に自宅の建て替えの検討時、ハウスメーカーを回った際、営業マンとの「合う・合わない」を強く感じました。
「たくさんの提案」より「刺さる一つの提案」をくれる人を
M様:桜井さんはたくさん喋って提案してくるいわゆる営業マンではなく、確実に「あ、それ素敵!」と感じるものを形にしてくれる職人気質の設計士でした。まさに「いぶし銀」のような魅力があり、「余計なことを言わずとも最高の仕事をしてくれる」、どっしりとした安心感があります。
何十年と使う場所だからこそ、見極めるべきは「人」
M様:やはり「本当に信頼できる人に、家を建ててもらいましょう」というのが、アドバイスになりますかね。
自分が何十年と使う大切な場所だからこそ、それを任せられる人か、価値観が合う人かどうかをちゃんと見極めること。
それが理想の空間を叶える一番の近道だと思います。
おわりに

かつてファンクバンドを組んでいたというM様と、過去にバンド活動経験がある弊社代表の桜井。
ベース作りと家づくり、扱うものは違えど、「木」と「音楽」を愛する職人同士のご縁が、唯一無二のベース工房を生み出しました。
世界中から注文が届くM様の新しいベース工房には、これからも多くの音楽ファンや木を愛する人たちが集うことでしょう。
M様、貴重なお話をありがとうございました!






