土地探しから、最後のひと鉋まで。

——なぜ私は、大工で、建築士で、宅建士なのか

株式会社木の彩 代表の桜井一樹です。

ときどき、お客様に聞かれることがあります。 「桜井さんは、結局なにをする人なんですか?」

大工です、と答えます。 建築士です、とも答えます。 そして去年からは、宅地建物取引士です、とも。

欲張りに聞こえるかもしれません。 でも私にとってこの3つは、別々の仕事ではありません。 一軒の家を、最初から最後まで引き受けるための、ひとつながりの道具です。


家づくりには、3つの「断絶」がある

家を建てた経験のある方なら、思い当たることがあるかもしれません。

土地の話は、不動産屋さん。 間取りの話は、設計士さん。 現場の話は、大工さん。

それぞれはプロです。けれど、それぞれが隣の領域を知らない

不動産屋さんは、その土地にどんな家が建てられるかを、図面レベルでは知りません。 設計士さんは、描いた線が現場でどう納まるかを、手では知りません。 大工は、なぜその線がそこに引かれたのかを、聞かされていないことがあります。

その隙間で、困るのは誰か。 お施主様です。

「土地を買ってから、希望の間取りが入らないと分かった」 「図面ではよかったのに、現場で『これは無理です』と言われた」

こういう話を、私はこの仕事を始めてから何度も聞いてきました。

大工から始まった

私の原点は、大工です。

木に触れて、刻んで、組む。 杉の床板を一枚張るたびに、この木が10年後、20年後にどんな色になるかを想像します。木は、張った日がいちばん美しいのではありません。暮らしながら、深くなっていく素材です。

だからこそ、悔しいことがありました。

図面のこの線が、あと30ミリずれていたら。 この土地の向きが分かっていたら、窓はここじゃなかったのに。

現場の手は、上流の判断を変えられない。 それなら、上流に行くしかない。そう思いました。

建築士になって、見えたこと

二級建築士の資格を取り、図面を描く側になって分かったのは、線一本の重さでした。

私が描く線は、そのまま自分の手で刻む線になります。 「ここは納まらない」と現場で気づくのではなく、描く前に手が知っている。 「なぜこの寸法なのか」を、鉋を持った経験から説明できる。

設計と施工のあいだにあった断絶が、自分の中では消えました。

(いまは一級建築士の取得に向けて勉強を続けています。学びに終わりはないと、この歳になって改めて思います。)

それでも残った、最初の断絶

ただ、まだ一つ残っていました。 土地です。

どんなに良い設計をしても、どんなに丁寧に施工しても、土地選びを間違えると取り返しがつきません。冬の日当たり、地盤、法規制、隣家との距離。家の暮らし心地の半分は、土地で決まると言ってもいい。

けれど土地の売買は、不動産の資格がなければ扱えません。 「この土地、やめたほうがいいですよ」と、責任を持って言える立場になりたかった。

だから宅建士を取り、不動産の部門を立ち上げました。

3つの資格で、なにが変わるのか

土地探しから、最後のひと鉋まで。 窓口が、変わりません。責任の所在が、動きません。

土地を見るとき、私はすでに家を建てる目で見ています。 「この土地なら、朝日はこの角度で入る。リビングはこちら向きだな」と。

図面を描くとき、私はすでに現場の手で描いています。 「この納まりなら、うちの大工の腕で美しく仕上がる」と。

そして現場に立つとき、私はその線を引いた理由を、すべて知っています。

木と、歳を重ねる家のために

私たちのお客様には、二度目の家づくりという方が少なくありません。 一度建てた経験があるからこそ、「窓口が分かれることの疲れ」をご存じの方たちです。

これからの30年を、安心して、木と一緒に歳を重ねていく家。 そのためには、家づくりのすべてを、顔の見える一人が引き受けるのがいちばんだと、私は思っています。

大工で、建築士で、宅建士。 3つの資格は、飾りではなく、お施主様の不安を3つ消すための道具です。

土地のこと、間取りのこと、木のこと。 どの入り口からでも、かまいません。 石川県かほく市の事務所で、お待ちしています。


株式会社木の彩 代表取締役 桜井一樹(二級建築士/宅地建物取引士)