ウッドデッキ木材おすすめと選び方ガイド
庭とつながるウッドデッキ、バルコニーの木の風合いは、住まいに「自然の延長線上」の心地よさをもたらします。ただ、木材選びを誤ると腐食・反り・変色に悩まされ、せっかくの空間が台無しに。
そこでこの記事では、「ウッドデッキ 木材 おすすめ」をキーワードに、耐候性・メンテナンス性・美観を兼ね備えた木材選びのコツと具体例を紹介します。まずは「ウッドデッキに適した木材とは?」を理解しましょう。
ウッドデッキに適した木材とは
ウッドデッキに適した木材は、「形状安定性(反り・ねじれの少なさ)」「耐久性・耐腐食性」「扱いやすさ(加工性・メンテ性)」の3つをバランスよく備えたもの。加えて、天然木か人工木かを選ぶ観点も重要です。
ウッドデッキは屋外にさらされ、雨・風・日差し・湿度変化といった過酷な条件で使われ続けます。木材は湿気を吸収・放出する性質があるため、反りや割れが生じやすく、腐朽菌・シロアリの影響も無視できません。なので、過酷な環境でも形状を維持しつつ長く使える木材が理想です。
また、DIYやメンテナンスのしやすさも日常的な負担を左右します。木材が硬すぎて加工が難しければ、施工費がかさんだり応用が利かなくなったりするからです。
さらに、近年では人工木(樹脂・木粉複合材など)によって、天然木の風合いとメンテ不要性を兼ね備えた選択肢も増えています[1]。
例・具体的な比較
天然木:ハードウッド vs ソフトウッド
| 特性 | ハードウッド(広葉樹) | ソフトウッド(針葉樹・国産材など) |
|---|---|---|
| 耐久性・耐腐朽性 | 非常に高い。腐りにくく長寿命[2]。 | 樹種によっては耐久性を補う処理が必要[3]。 |
| 反り・ねじれの抑制 | 高密度で形状変化が少ない | 乾湿変動で動きやすい傾向あり |
| 加工性 | 硬く扱いにくい(下穴必須、刃物に負荷) | 比較的扱いやすくDIY向き |
| コスト | 高価な素材が多い | 比較的安価で入手しやすい |
| 美観・風合い | 重厚で高級感あり | 軽やかでナチュラルな印象 |
たとえば、ウリンというハードウッドは非常に硬く、耐久性・防虫性に優れるため「鉄の木」「100年腐らない」とも称されるほど[4]。ただし硬いため加工性に難があり、樹液(アク)が出るリスクもあります[4]。
一方、国産の木材(ヒノキ、カラマツなど)やソフトウッド材を使う場合は、表面処理や保護コーティング、適切な設計(通気性確保など)を併用することで長持ちさせる工夫が求められます[3]。
人工木・樹脂複合木材
人工木・再生木材は、木粉と樹脂を混合したものやプラスチック系素材を用いたものなどがあります[5]。
- メリット:変色・腐食・割れに強く、メンテナンス負荷が低い[6]。
- デメリット:夏場に熱くなりやすい、風合いには限界、コストが高めになることも[7]。
ウッドデッキに向く木材は、耐候性・耐久性・形状安定性・加工性を総合的に満たすものが理想です。
天然木ではハードウッドが性能面で優れますが、扱いが難しい面もあるため、設計や施工との相性を見ながら選ぶべきです。また、人工木材はメンテナンス負荷を抑えたい方向けの現実的な選択肢です。
[1] MINO株式会社「ウッドデッキの材料はどれが最適?木材の種類から選び方まで解説!」
[2] 株式会社RESTA「ウッドデッキの天然木材の特性一覧」
[3] キグミノイエ「ウッドデッキの木材選びどうする?ソフトウッドとハードウッドを解説!」
[4] mock re:「ウッドデッキ用木材「ウリン材」は抜群の耐久性!おすすめな理由」
[5] WOODSPEC「ウッドデッキに使われる木材の種類とそれぞれの特徴とは?」
[6] WOODSPEC「ウッドデッキに使われる木材の種類とそれぞれの特徴とは?」
[7] 株式会社ワールドフォレスト「木材の選び方」
おすすめ木材5選と特徴比較

ウッドデッキでよく使われる木材を5つ選び、それぞれの性質・利点・注意点を比較してみましょう。
イペ(Ipe)
南米原産のハードウッドで、非常に密度が高く強靭です。耐久性と硬さに定評があり、腐朽・虫害に強い特性を持ちます。ウッドデッキ材として世界の公共施設でも採用例が多いです。
ただしその硬さゆえに加工が難しく、ビス打ちや穴あけには下穴が必須。コストも高めになります。色は深い褐色で、使い込むほどに風合いが落ち着いたシルバーグレーへと変化する傾向があります。
ウリン(Ulin)
東南アジア原産。木材比重が高く、耐水性・耐腐朽性に優れ、公共施設や海辺の構造物などにも使われる素材です。防虫性能も強く、長寿命という評価が多いです[8]。
一方で、樹液(アク)が出ることがあるため、施工時や初期段階で壁やコンクリート部分に飛散しやすい点は注意が必要です。下穴加工や手入れも慎重に行う必要があります。
セランガンバツ(Seranganbatu)
近年、ウッドデッキ素材としての人気が高まっている木材です。ウリンやイペと比べてやや価格を抑えつつ、耐久性・強度も十分というバランスの良さが魅力[9]。
施工性も比較的扱いやすく、流通量も安定してきており、多くの住宅で選ばれています。 ただし木肌のザラつきやささくれが生じやすいため、素足で過ごすスペースには表面仕上げを意識した方が安心です[9]。
レッドシダー(Western Red Cedar)
北米産の針葉樹で、軽くて加工しやすく、香りと自然な風合いが魅力です。手触りが柔らかく、DIYをする方や温もりを感じさせる空間を重視する方に好まれます[10]。
ただしハードウッドに比べて耐久性は落ちるため、塗装・防腐処理が欠かせません。
定期的なメンテナンスを取り入れる必要があります。供給状況や価格変動にも注意が必要という声もあります[11]。
イタウバ(Itaúba)
近年、ハードウッド材として注目されている素材で、耐久性・加工性・コストのバランスに優れています。油分を含み、比較的ささくれにくく、扱いやすいとされることが多いようです[12]。
高硬度の素材と比べるとやや柔らかめになるため、施工性が比較的良好で、工具負荷も抑えられるという利点があります。価格はハードウッドの中ではやや抑えめ、流通も安定しつつあるという声があります[13]。
比較まとめ(視点別)
| 視点 | 注目点 | 優位な木材 | 注意すべき点 |
|---|---|---|---|
| 耐久性 | 長期使用/腐朽・虫害耐性 | イペ、ウリン | 高密度ゆえに加工が難しい・コスト高 |
| 加工性・施工性 | ビス打ち・切断・曲げ | レッドシダー、イタウバ | 柔らかすぎると反りやすい、耐久性に課題 |
| 美観・風合い | 時間経過での変化や見た目 | ウリンの赤褐色、イペの深み | 色むら、シルバー化、ささくれ |
| コスト・入手性 | 素材価格+流通性 | セランガンバツ、イタウバ | 人気材は価格高騰・供給不安も |
| メンテナンス | 手間の掛かり具合 | ハードウッド系(少メンテ) | 定期塗装が必須となる材も多い |
[8] リーベ「ウリン ~水に強く、虫にも強い!~」
[9] mock re:「聞き慣れない「セランガンバツ」は優れたウッドデッキ用木材」
[10] アトリエタムロ「2通りのウッドデッキの材料、どっちがいいのか」
[11] アトリエタムロ「2通りのウッドデッキの材料、どっちがいいのか」
[12] リーベプロ「人気ハードウッド材の比較 イタウバvsウリンvsセランガンバツ」
[13] リーベ「ウッドデッキ関連コンテンツ」
後悔しない木材選びのコツ

木材選びで失敗しないためには、素材の特性だけでなく、設置環境や暮らし方との相性を見極めることが大切です。
まず、地域の気候条件をみてみましょう。日本のように四季がある環境では、雨・湿気・凍結・直射日光などが木材に与える負荷が大きくなります。
特に湿度が高い地域では腐朽やシロアリリスクも高まるため、耐腐性に優れたハードウッドや防腐処理材を選ぶのが安全です。
次に、ご自身のライフスタイル・手間許容度を見据えます。DIYで手入れをこまめにできるなら、やや手がかかる天然木でも良いでしょう。
一方、メンテナンスは最小限にしたいという方には、人工木材(樹脂混合材など)が現実的な選択肢となります。人工木材は「メンテナンス不要」ではありませんが、掃除中心で済むというメリットがあります[14]。
また、デッキの設計・構造も木材の性能を活かす鍵です。以下のようなポイントに注意すると、長持ちするデッキになります。
- 束(支柱)や根太(下地材)の間隔を適切に取り、たわみを防ぐ
- 通気性を確保する(湿気がこもらないよう木材の裏側・側面にすき間を設ける)
- 雨水の流れを意識して、デッキ表面や目地が水たまりにならない勾配を設ける
- 木材の厚み・断面を適切に選び、変形・反りを抑える
さらには、保護処理・仕上げも見落とせません。塗装・ステイン・撥水剤などを施すことで、紫外線・水分・汚れから木材を守る効果が期待できます。
ただし、塗料や処理剤の選び方・施工方法を誤ると逆に割れ・剥がれを招くこともあるので、信頼できる製品・業者を選ぶことが重要です。
最後に、予算と長期視点でのコストも忘れずに。初期費用がかかっても寿命が長く、手入れが少ない材を選ぶほうがトータルコストでは得になる場合があります。長く使う空間だからこそ、短期コストだけで決めない選択を。
[14] 「人工木”ERデッキ” お手入れ・メンテナンス」
自然と調和する庭づくりアイデア

ウッドデッキと庭を自然につなげ、一体感のある空間をつくるには、植栽やレイアウトの工夫が効果的です。
モミジや庭木をアクセントに使う
モミジ(イロハモミジなど)は四季を通じて変化が楽しめ、和洋問わず調和する庭木です[15]。 紅葉期には鮮やかな色彩が庭に映え、春夏には新緑のアクセントになります。
植えるときは、将来的な樹高・枝張りを見越した余裕を持つことが大切です。モミジは樹高3〜15m程度に成長する品種もあり、環境が良いとさらに大きくなることもあります[16]。
植え付けは休眠期(冬〜早春)に行うと根の活着が良くなります[16]。
また、モミジをシンボルツリーとして扱う場合、デッキからの見え方を意識した配置が重要です。
たとえば、家側から見て「枝がデッキ方向にもたれかかるような見え方」や、「背後に空間を持たせて風通しを確保」すると、圧迫感が出にくく美しく映ります[17]。
足元には低木や草花を植えると景色に奥行きが生まれます。たとえばモミジの下草にシダ類、小ぶりな宿根草、グランドカバー植物を配して緑の階層を作ると自然感が増します。
デッキと植栽のバランス配置例
- デッキの縁に沿って細い植栽帯を設け、木や低木を点在させて“外側から包むような緑の縁取り”に
- デッキをL字型とし、一辺を庭木ゾーン、もう一辺を芝やグラウンドカバーゾーンに分けて使い分け
- 植栽の高さにメリハリをつけ、視線の抜けを意識:高木 → 中木 → 低木 → グラウンドカバーと階層を作る
- 季節変化を取り込む:春花・夏葉・秋紅葉・冬枝ぶりを意識した樹種を組み合わせる
自然のある暮らしを感じさせる演出
- デッキ上に鉢植えやプランターを置き、ハーブ・観葉植物・草花を取り入れる
- デッキと庭をつなぐ小道やステップを設けて「出入り」感を演出
- 照明や石・小川・枕木などの素材を使って自然素材のアクセントを加える
- 風を活かす配置:風通しを確保して木漏れ日・そよ風を感じるデザインに
[15] 「イロハモミジの魅力とは?特徴や樹形の解説、庭木としての植栽実例も」
[16] 「モミジ(紅葉)があるお庭・モミジの種類・特徴、樹形・手入れ・剪定」
[17] 「シンボルツリーのモミジと色鮮やかな低木植栽によるナチュラルロックガーデン-春日部市K様邸」
自然とともに暮らす、ウッドデッキという選択

自然を感じながら過ごすウッドデッキは、暮らしに豊かさと安らぎをもたらします。しかしその快適さは、木材選びと設計・施工の質によって大きく左右されます。
選ぶ木材ひとつで、ウッドデッキの印象は大きく変わります。ハードウッドの重厚さを生かした長寿命な設計も良し、柔らかなレッドシダーでナチュラル感を演出するのも良し。人工木材で手間を省きつつ、庭木で季節の彩りを添えるのも素敵です。
今後、家族と過ごす時間の中でデッキがどう活躍するのか。
その未来の風景を想像しながら、最適な木材と自然とのバランスを見つけてみてください。長く愛せる空間づくりの第一歩として、今回の情報が役立てば幸いです。





